殺し屋ケラーの帰郷 [book] [ローレンス・ブロック]
ローレンス・ブロック/二見書房/お薦め度 ★★★★
シリーズ第五弾
前作、「殺し屋最後の仕事」、で殺し屋稼業から引退?したケラー。ジュリア、前作でケラーを助けた、と結婚、子どももでき、ニューオーリンズでリフォーム会社の共同経営者に収まっている。
サブプライムローン問題でリフォーム会社も仕事がまわってこない状況。そんななか、身をひそめていたドットから一本の電話が・・・
殺し屋稼業を再開するケラーだが、少々以前とは様子が違う。妻のジュリアに仕事の話をする件はなんとも微笑ましい!?「海辺のケラー」ではジュリアが仕事を手伝う場面も。
全編、切手収集の話と殺しだが、ファンにとってはたまらないシリーズ!
2014-11-06 09:15
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この本は、“殺し屋ケラーと切手収集”と言ってもよさそうなほど、切手コレクターとしてのこだわりが出た作品になっていると思う。
しかも「ケラーの副業」では、肉体的につらいリフォームの職業から足を洗い、趣味を仕事にしようという試みに打って出る。
殺し屋稼業に関しては、もはやファンタジーというか、何故、正体がばれないのかとさえ思えてしまう。
ただ、このシリーズに関しては、そういったことは抜きにして、殺し屋とその生活ぶりのギャップを楽しむというような作品のため、そこはさほど気にならない。
と言いつつも、「ケラー・イン・ダラス」では、仕事達成後に意外な展開が待ち受けていたり、「ケラーの帰郷」では難攻不落の修道院長の殺害を試み、「海辺のケラー」では護衛付きのターゲットを殺害しなければならなくなる等々、本業のほうでもなかなかの仕事ぶりを見せてくれている。
今まではこのシリーズ、ケラーとドットの会話ばかりで成り立っているような気がして物足りなさを感じていた。
しかし、シリーズが続くにしたがって、ケラーの生活ぶりに幅ができ、物語全体を楽しめるようになってきた。
そうしたなかで、徐々にケラーとドットの会話も意外と楽しめるようになってきた気がする。
今後もスパンは空くと思うのだが、ブロックのライフワークとして続いていきそうに思えるシリーズ。
シリーズ自体にも円熟味が増してきて、段々と面白くなってきた。
by オーウェン (2023-11-12 16:42)