SSブログ

無間地獄 [book] [新堂冬樹]

sample47.JPG新堂冬樹/幻冬舎/お薦め度 ★★★★☆

幻冬舎創立六周年記念特別作品

題名の「無間地獄」とは、仏教語。八大地獄のひとつ。五逆罪を犯した者が、絶えず苦しみを受ける所。

上司に嵌められ、ヤクザに追われ、囚われ、家も金も奪われ、同僚に裏切られてカモ達にも見放され、ブ男の尻の穴を掘らされ、そのブ男よりも醜い、鏡を覗いた本人さえ吐き気を催す醜貌にされ、自分に首ったけだった女に嫌悪され、尻を出した無様な格好で、胃液と涙と鼻水と血に塗られて身悶えている。「地獄だ・・・生き地獄だ・・・」玉城の呟きが・・・

金がないのは、首がないのと同じ。金の無い奴は死人。幼心に懐裡深く刻まれた父親の言葉―憎悪と呪詛を胸奥の飼い慣らしつつ、肯定する桐生がいた。お袋呪った、父親を呪った、運命を呪った、金を呪った。とりわけ、どうすることもできない無力な自分を呪った。

キャッチセールスの玉城。ヤクザの桐生。若頭の鬼塚。兄を殺された街金業者・成瀬・・・曲者同士の騙し、裏切り。逃げるろくでなし、追う人でなし・・・

正に「無間地獄」そのもの。地獄をここまで描ききった著者に脱帽。

ふと、ヤン・ソギルの「血と骨」、馳星周のデビュー作「不夜城」を思い出してしまいました。ヤン・ソギルのパワー、馳星周の裏社会・・・幻冬舎はいい新人を発掘しました。

2000/05

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。