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カルチェ・ラタン [book] [お気に入り作家(国内)]

sample45.JPG佐藤賢一/集英社/お薦め度 ★★★★

眉目秀麗、頭脳明晰な修道士と愚図で奥手の夜警隊長が遭遇する怪事件の数々。佐藤賢一、独壇場の西洋歴史小説。

宮部みゆき・「ぼんくら」のフランス版と考えていただければ・・・はじめての短編連作集に近い構成で。

ソルボンヌ学寮の学僧。パリ大学神学部きっての秀才マギステル・ミッシェルと大手船会社の次男。パリ夜警隊長ドニ・クルパン。パリ、カルチェ・ラタン。十六世紀後半。

江戸、深川あたり。十七世紀。同心と十手持ち。よく似たプロットではありませんか!?宮部みゆきを引き合いに出したのはまんざら突拍子も無いことではございません。

江戸と違い、当時のパリは治安が悪く、悪臭放つ学僧の街でありました。セーヌ川はごみ箱。道路は汚物にまみれ、それはそれは汚いものでございました。この汚い街を歩くのに必要だった高下駄風の靴がハイヒールの原点だったのでございます。

物語は下町の怪事件で留まることなく、神とは何ぞや、宗教とは何ぞや、信仰とは何ぞやからカトリック、プロテスタント入り乱れる宗教革命にまで事件は発展してしまうのでございます。

少々、オウム事件をパロッタ部分なんかも出てきて楽しませてくれます・・・

西洋歴史小説というジャンルを確立した佐藤賢一。現時点ではエンターテインメントの要素が強いわけですが、今後はミステリーのジャンルにもぜひトライしてほしいものです。

2000/05

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