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禁忌 [book] [フェルディナント・フォン・シーラッハ]

sample1.jpgフェルディナント・フォン・シーラッハ/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

最新刊

没落寸前のエッシュブルク家の御曹司、セバスティアンは共感覚、文字に色を感じたり、音に色を感じたり、の持ち主。

父の自殺後、屋敷を売り払い馬術競技にのめり込む母をしり目に、写真家として大成功を収める。そんなある日、若い女を誘拐したとして逮捕される。

自白を強要され、犯行を認めるセバスティアン。殺人容疑で起訴され辣腕弁護士ピーグラーに弁護を依頼する。

ここまではお決まりの法廷劇なのですが・・・誘拐された女がセバスティアンの異母妹と判明、物語は混迷の度を増す。

ネタばれまで書かないと本書を評価したことにならないので書きます。誘拐された女の死体は発見されなかった。死体など最初からなかった。消えた女は存在しなかった。インスタレーションにおける殺人でセバスティアンを起訴してしまった!?

セバスティアンは弁護士に最後に尋ねる「罪とはなんですか?」、と。また、弁護士がセバスティアンに「こんな手の込んだことをしたのは、なんのためだ?・・・芸術のため?真実のため?」と問う。

禅問答のようなミステリーともとれるし、刑事訴訟手続を冷ややかな視点でえぐり取ったリーガルサスペンスともとれる一冊かな!?


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