大鴉の啼く冬 [book] [アン・クリーヴス]
アン・クリーヴス/東京創元社/お薦め度 ★★★★★
CWA賞最優秀長篇賞受賞作
舞台はイギリス最北端シェトランド諸島、極地型Cfc(冬は緯度の割にはかなり温暖だが、一年中風が強い上に、夏が短く気温もあまり上がらない(平均気温10度以上の月が3ヶ月以下))。その上、土地もやせている為農作物は栽培できず、古くから放牧が行われてきた。そんな自然条件が色濃く物語に反映されている。
舞台設定に一本!全編を通して流れる凍りついた空気が実にいい!
新年を祝うパーティの帰り、ふたりの女子高校生は知的障害のある老人宅を訪れた。その四日後、高校生のひとり、黒髪の少女、が雪原でマフラーで首を絞められ発見される。
小さな町、べっ視される老人、住民は老人の犯行と決めつける。八年前、同じく老人宅を訪ねた少女が姿を消したことが再び甦る。地元の警部と本土の警部の合同捜査が始まる。
凍りついた空気と事件があいまって、読者をシェトランド諸島まで引き連れていく著者の筆致に脱帽。
追伸:中村俊輔のいる「セルティックス」のユニフォームが話題になる場面があります。俊輔も寒いところで試合をしているんだなとあらためて思った次第です。
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