愚者の街 [book] [~'23海外編]
ロス・トーマス/新潮社/お薦め度 ★★★★☆
クライム・ノベル
上巻はルシファー・C・ダイ、元セクション2の秘密諜報員の来し方の物語。上海爆撃で父親を亡くし、娼館のロシア人女性に拾われ生き延びる。地球を半周、再びアメリカにもどり、セクション2に加わるも、何者かの策略により投獄され失職・・・
下巻では、ダイに持ち込まれたのは不正と暴力で腐敗した街の再生計画・・・ダイに力を貸してくれるのは元悪徳警官のホーマー・ネセサリと元娼婦のキャロル・サッカティ。
「良くなる前にはもっと悪くならなくてはならない」
賭博、売春を黙認、賄賂を受け取る要人たちを次々に排除、弱体化した街には各地のマフィアが群がる。それらを共食いさせるダイたち。
胡散臭い面々のあつまり、予測不可能な展開、まさにクライム・ノベルだ。
巻末に原尞が、もともとロス・トーマスの小説は少しでも早く読了することが目的であるような忙しい読者には向いていない。ロス・トーマスの小説の面白さはそれほどわかりやすくはない、と。
言い得て妙!
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