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名無しのビル [book] [お気に入り作家(海外)]

sample115.jpgシェイマス・スミス/早川書房/お薦め度 ★★★☆☆

大脱走のシェイマス版?

「大脱走」が余りにもすご過ぎて、大損をしている本書。評判の高かった「捕虜収容所の死」マイケル・ギルバートもそうだったように・・・

第一作の「Mr.クイン」、第ニ作の「わが名はレッド」は、何とかベスト10の上位にランクされた、癖になりそうなノワール小説だったが、本書はがらっと趣をかえた作品。北アイルランド紛争をベースに、親友と一緒にIRAと間違われ、誤認逮捕された主人公が、四年に及ぶ収容所生活から抜け出そうとする大脱走ストーリー。

1969年から過去30年間、テロや暴力によって3000人以上の犠牲者を出してきた北アイルランド紛争は、1998年4月10日の和平合意達成以来、その和平案の是非を問う住民投票、国民投票、地方議会選挙によって、最終解決、歴史的な和解への道筋を歩みはじめた。 北アイルランド紛争は、地域人口の4割を占めるカトリック系住民が「アイルランド帰属」を求めて、イギリス領土の現状を守ろうとする多数派のプロテスタント系住民と対立し続けていたイギリスとアイルランドの「おん念」を背景にした世界的な紛争だった。

著者の心情、アイルランド人、が主人公を通じ吐露されている・・・プロテスタントにも、カトリックにも、イギリスにも、IRAにも組みせず、両者が収容所から脱出せねばならい、と。

2004/11


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