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盤上の向日葵 [book] [柚月裕子]

sample1.jpg柚月裕子/中央公論新社/お薦め度 ★★★★

将棋ミステリー

山形で行われている注目の竜昇戦、七冠に大手をかけようとしている壬生Vs東大卒、ITベンチャーの旗手から転身した異色のプロ、上条、その会場に姿を現すふたりの刑事、そのひとりがつぶやく「いい面構えだ。人ひとり殺してもなんでもねえって面ァしてやがる」。

この四ヶ月前、山中で発見された白骨化死体、死体とともに初代菊水月作の名駒が遺留品をして見つかる。嘗てプロ棋士を志した新米刑事、佐野と叩き上げの石破刑事が名駒の出自をあたる。

捜査と交互に語られる上条の出自、幼いころ母親を亡くし、博打と酒に溺れる父親、味噌作り職人、に虐待されながら育つ。教師を退職した唐沢が出す紙ごみの将棋本を抜き取り勉強をする上条。上条に救いの手を差し伸べる唐沢・・・

父親をとるか、唐沢をとるか選択を迫られる上条、父親を選択、唐沢の手を離れる上条。奨学金をもらい東大に合格する上条、上京することで結果的に父親を捨てることになる。流れ流れ唐沢が手に入れた初代菊水月作の名駒を餞別として上条に送る。

東大在学中に出会う胡散臭い真剣師、賭け将棋のプロ、東明、彼が上条に良い意味でも悪い意味でもプロ棋士としての性根を植え付けることになる。

東明に魅入られるように雪荒ぶ青森へ「旅打ちに」出かける上条、ふたりの姿が松本清張の「砂の器」を呼び起こさせる。

刑事たちと上条が竜昇戦の場面に繋がることは最初から分かっているが、読者をとことんまで焦らす著者、白骨死体は誰?なぜ名駒が一緒に埋められていたのか?

何点か不満を残しつつ進む物語、最後に明かされる真実に不満も霧消してしまう!

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