天国でまた会おう [book] [ピエール・ルメートル]
ピエール・ルメートル/早川書房/お薦め度 ★★★★☆
ゴンクール賞(エスプリに満ちた作品)受賞作
「その女アレックス」とはひと味もふた味も違う作品。
第一次世界大戦休戦前夜、百十三高地の奇襲、上官ブラデルの犯罪?に気づいたアルベールは砲弾の穴に突き落とされ、生き埋めに。窮地を救ったのはエドゥールだった。しかし、砲弾の破片が顔に刺さりエドゥールは顔を失う。
野戦病院で懸命に看病にあたるアルベール、断固として裕福な実家に戻ることを拒絶するエドゥール。エドゥールの姉に弟は戦死したと嘘をつき、別人になりすましパリへ帰還、ふたりの生活が始まる。
エドゥールのモルヒネ代を稼ぐには、アルベールら帰還兵に対する世間の仕打ちは冷たかった。
ブラデルは帰還後、エドゥールの姉と結婚、胡散臭い仕事で実業家としてのし上がっていた。
戦没者追悼墓地建設でひと儲けを企むブラデル、一方、エドゥールは途方もない追悼記念碑建立詐欺の計画を練りあげていた。
ふたつの企みの行き着く先は?こう書くとエンタメ的な要素が多いように聞こえるが、画才のあったエドゥールの奇行?を理解しなかった父、ペリクール、との確執、エドゥールの戦死により我が子を思う心に変化をきたす父。大戦を皮肉る?とともに父子愛を描いたエスプリ。
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