国境 [book] [黒川博行]
黒川博行/講談社/お薦め度 ★★★★☆
シリーズ第二弾 疫病神コンビ健在なり!
ケチな詐欺師にニ蝶会が手玉にとられ、なにがなんでもケジメをとれ、と命令された桑原。重機の紹介料三十五万円の稼ぎは、濡れ手に粟のおいしいシノギだったはずの二宮。
身辺が危うくなったケチな詐欺師、趙は北朝鮮に高飛びした。
趙を追うため、通訳を雇いツアーの一行として平壌へ飛ぶふたり。表向きはツアーガイド、日本人の見張り役、の眼をごまかし協力者と連絡をとるためカラオケバーに繰り出す三人。そこで北朝鮮の徹底した監視社会を思い知ることになる。
「どこに金をばら撒いて趙をあぶりだすか、それが勝負の分かれ目になりそうやな」
手かせ足かせの追跡もツアー最終日をむかえる。趙の足取りは平壌から経済特区の羅津・先鋒にあったが、時すでに遅し、ゲームオーバー!
一旦取り付いたら離れない疫病神が簡単にあきらめるわけがない。再び、中国国境を超えようとするふたり。
「合法的に羅津・先鋒にはいるんやないわい、わしとおまえで国境破りや」
シリーズ第一弾同様、テンポのいい展開、テンポのいい大阪弁。北朝鮮を舞台に破天荒な追跡を繰り返すふたり。なんともたのもしい・・・
北朝鮮の殺伐とした風景、厳しい経済状勢を織り交ぜながら物語はクライマックスへとむかう。追跡の仕上げは再び大阪へ・・・
さすが、ミステリチャネル、2001年No.1に輝いた作品だけのことはある。シリーズ第一弾「疫病神」から読んでもよし、本書から読んでもよし!
追伸:桑原のモデルは「やす・きよ」の「やっさん」ではないか!?その風貌、言動・・・そう思ってしまうのはわたしだけだろうか。
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