神無き月十番目の夜 [book] [飯嶋和一]
飯嶋和一/小学館/お薦め度 ★★★★
百姓一揆の物語
正に不条理
慶長七年(1602年)、慶長八年が徳川家康征夷大将軍になり江戸幕府が成立した年、国獲り合戦が終わり、新たな管理体制への移行期の出来事。
戦国の世では武士、平時は百姓、いわゆる「郷士」と新たな支配者による検地、そこで事件は起きる。
下級武士、郷士としてのプライドをずたずたに切り裂く不埒な検地。これから実りを迎えようとする田を容赦なく踏み荒らし、ニ割増しの面積を記帳していく。さらに神事、祭事に使うための「隠れ田」の摘発。事ここに至って堪忍袋の緒は切れ、村人、郷士は蜂起する。
耐え忍ぶ民とぼんくら支配者の構図が明らかになる。戦いに勝てぬことは承知の上、役人に抵抗する民の悲しき物語。神は何処に!?
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