さみしさの周波数 [book] [乙一]
乙一/角川書店/お薦め度 ★★★★☆
「手を握る泥棒の物語」、「失はれた物語」の二編が収録されている。
あとがきによれば、雑誌で「せつない」話を特集するから書いてくれと誘いがきた。小生は生活のために引き受けた。悪夢のはじまりだった。小説のアイデアがなにも浮かばなかった。「せつない」というしばりがきつかった・・・小生は書きたいと思うまで小説を書き始めてはいけなかった。その意味で小生は「手を握る泥棒の物語」が気に入っていた。書きたいと思って書いたという、単純な理由がそこにあった。つるつるの脳味噌のいい面が出ている気がした。
「失はれた物語」はつい最近、書いた。2002年の11月だった。小生は唐突にクラシックの音楽を聴くようになった。そして「あ、なるほど」と思って書いた。いつもアイデアが浮かべば苦労しないのに、つるつるではその回数も少ない・・・
なにかマゾヒスティックに自分をいじめながら、使命感ではなく、印税を食いつぶしながら、自分の好きなものを書く。締め切りという時間を無視して・・・
自分の好きなもの、締め切りという時間を無視した傑作が「ZOO」なのか!?
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