死刑執行のノート [book] ['24 海外編]
ダニヤ・クカフカ/集英社/お薦め度 ★★★★
エドガー賞最終優秀長編賞
四人、少女三人、元妻、の女を殺した死刑囚アンセル・パッカーの死刑執行12時間前から物語は始まる。
残り時間が減っていくアンセルの視点、アンセルに複雑な思いを抱く三人の女たち、アンセルの母親ラヴェンダー、アンセルの元妻の双子の妹ヘイゼル、アンセルと一時期、一緒に里親の家で過ごしたサフィー、ニューヨーク州警察捜査官、の視点で過去と現在が綴られる。
三人の女がそれぞれ夫、子供、姉、義兄、友、そして自分の過去と現在を語らせることでアンセルの虚像と実像を浮き彫りにするところは秀逸だが、全体の色彩が暗く、沈んでいるので読者の気持ちも萎えいでしまう!?
悪人になるのはさほど難しくない。悪とは、見つけたり捕まえたりすることができるものではなく、大事に抱えておくことも追い払うこともできない。悪とはひそやかに目立たず、ほかのものに紛れて隠れてしまう。
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