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虚心 [book] [吉川英梨]

sample1.jpg吉川英梨/幻冬舎/お薦め度 ★★★★

警察小説

初めて手にする作家、本よみうり堂で宮部みゆきが推し・・・

黒部山で土砂崩れが発生、ひとりが行方不明、瓦礫のなかから大量の産業廃棄物が見つかる。埼玉県警捜査一課の奈良も行方不明者の捜索にあたる。

捜一の奈良が捜索に加わる理由は16年前、迷宮入りとなった殺人事件の捜査に加わっていたからだった。

16年前の事件とは、産廃の最終処分場建設をめぐり、町が反対派と賛成派に二分される中、反対派の監視所で起きた殺人、被害者は反対派のリーダー、第一発見者の金文商事のぼんぼん金木大輔が容疑者としてあがるが、決定的な証拠が掴めず、ドイツへの留学を許してしまった・・・

崩落現場の地権者は14名、そのなかに金本大輔の名前があることから奈良は16年前の続きを完結させるため捜査に執念を燃やす。

昨年、熱海で起きた土砂災害と同じような構図、産廃=悪の刷りこみ?を逆手に取ったところが本書の肝。

物を作ると必ず出るのが産廃。日本の産業界はトイレのないマンションと言われている。トイレがない家はない。排泄しない人間はいない。同じように廃棄物を出さない産業は存在しない。製造の過程で出る産廃の処理施設は、工場の建設と同時に考えて作るべきもの。それなのに、未だ生産活動と産廃処理活動が区分けされている。(本書358頁)

なかなか耳の痛い題材を取り上げた警察小説。作者に小さなあっぱれ!



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