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溝鼠・ドブネズミ [book] [新堂冬樹]

sample60.JPG新堂冬樹/徳間書店/お薦め度 ★★★★☆ 

「カリスマ」同様、破天荒な小説!?

ドブネズミの鉄則、腐った餌を食らっても、猛獣の餌には手を出さない。命あっての物種・・・

関東最大手の規模を誇る付属病院の助教授で、次期教授候補の坂峰。自身の出身校の医学部への裏口入学の斡旋で、数億円からの金を貯め込んでいるらしい。

今回の絵を描いた男は、宝田組組長・宝田。まんまと色仕掛けで恐喝のネタをビデオに納めた愛人・澪。澪は澪で、自由を手に入れるためには宝田を裏切り、億単位の金を横取りすることを画策する。

復讐代行屋・鷹場の前に、九年ぶりに姿をあらわしたのは整形手術で顔をかえた父・源治だった。源治が持ち込んだ話は、宝田組から二億の金を掠め取ることだった。

源治を拒絶する気持ちと二億円の魅力。すべてを見透かされ、すべてを計算され尽くしていた。鷹場は肚を決めた。宝田組から二億の金を掠め取ることを・・・そして、復讐代行屋のプライドにかけて、源治に復讐することを。・・・

澪は弟の鷹場を巻き込むために、源治にある提案をした。期間限定の共存共栄、億単位の金を眼前にした自分と源治は、九年間の空白などなかったように息が合っていた。

二億の金を掠め取るために自分の利害だけしか考えない三人の親子、というより守銭奴の親、姉、弟、と宝田の破天荒な馬鹿し合い。

毒から逃れるために、いまの生活に逃げ込んだ。そして、あれほど忌み嫌っていた毒を以て、自分を救ってくれた毒を制しようとする自分。毒と毒の混合、調合を間違えば、自らの命も落としかねない危険な賭け。

澪はわかっていた。誰よりも危険でおぞましい毒は、自分であることを・・・

新堂冬樹、エンジン全開の一冊!?

2002/05


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