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慈雨 [book] [柚月裕子]

sample1.jpg柚月裕子/集英社/お薦め度 ★★★★

趣を異にする警察小説

警察官を定年退職した神場、以前から決めていた四国遍路の旅に出る。ひとり旅と考えていたが、妻を伴うことに・・・

旅先で知った少女誘拐事件、16年前に神場が捜査にあたった事件と酷似していた。神場の胸には冤罪事件ではなかったのかという悔恨の念があった。犯人が捕まり、収監された後、一件の目撃情報をもとに再捜査を申し出たが、刑が確定していること、警察のメンツ?から再捜査は認められなかった。

巡礼の旅と並行して捜査の進捗をかつての部下から知らせてもらう神場。

お接待役の老婆のひとことが、「お遍路さんのたいがいは、心になんか重たいもんを抱えていなさるけど、あんたもそうなんじゃろ」、神場の胸に突き刺さる。

死ぬまで刑事を貫き通す神場の下した結論に刑事の妻はどうこたえるのか!?

現在起きている事件そのものより16年前の事件に対する神場の落とし前を四国巡礼の旅とリンクさせた異色の警察小説!?

物語の紡ぎ方に長けた作家だ・・・

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コメント 1

トモ

最近、気になる作家のひとり、柚月裕子の「慈雨」を読み終えました。

お遍路の旅を続けながら、かつての部下を通して、捜査に関わり始めた神場は、深い傷と悔恨を残した過去と向き合い始め、新たに起こった事件と16年前の事件は、同一犯によるものではないかと疑い始めるのだった-------。

なかなか上手い着想の小説だと思います。
お遍路の先の宿や地元の人たちの親切、お寺の特徴やお土産物を描きながら、フラッシュバックで過去の事件や、彼と彼の妻と娘の訳ありな、過去の出来事等が明らかにされていきます。

とても読み応えのある作品で、映画化やドラマ化されやすい筋立てだなと思います。
ただ、この作品の前に読んだ「孤狼の血」の迫力に慣らされた私としては、少し物足りなさを感じましたね。
by トモ (2023-05-23 09:18) 

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