わずか一しずくの血 [book] [連城三紀彦]
連城三紀彦/文藝春秋/お薦め度 ★★★★
物語は1年前に失踪した妻からの電話で始まる。10時のニュースを見てろ、「自分が出てくるから」、と。ニュースは白骨化した左脚、左足の薬指に指輪がはめられた、が発見されたことを伝えるものだった。
夫の問い、「今どこにいるんだ?」、に妻は「温泉旅館・・・」、と。同時刻、温泉旅館では、「その男」と連れの女が家族風呂へ向かう姿を仲居が見ており、その女の左脚が消えるのは翌朝のことだった。
いきなり読者をミスリードで誘う連城、指輪をはめた左脚は妻のものではないことが判明、旅館から消えた左脚は誰のものなのか?
これをきっかけに日本各地で女性の死体の一部が発見される。それらはすべて別人のものだった。
妻に続き娘も、「その男」を見た仲居も失踪、バラバラ死体と失踪者、混迷度は益々増すばかり・・・
結末は一応連城マジックではあるが、読者としては一行で劇的な場面をつくりだす連城マジックを期待しているので、微妙なギャップが生じてしまう!?わたし的にはもう少しスッキリ騙されたかった。
連城には未刊の長編が3作あるという。そのうちの1作なのか!?
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