南の子供たち [book] [S・J・ローザン]
S・J・ローザン/東京創元社/お薦め度 ★★★★
リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ第十二弾
前作、「ゴースト・ヒーロー」、の刊行が2014年、8年ぶりのシリーズ
事件解決のためにわたしがミシシッピにいくことを母が望んでいる。
ミシシッピにいとこがいる、それだけでもビックリ、その人が父親殺しの容疑で拘置所に入れられている。即刻いとこを自由の身にするため南部へ行くことを命じられた。
頼れる相棒ビルを伴い町を訪れると、件のいとこは拘置所から脱走していた。事件の依頼人であるいとこの大叔父の家に滞在して調査を始める。
百年前に中国人がミシシッピ・デルタに移住し、中国人の経営する食料雑貨店がすでに存在し、新参の移民を受け入れていた。
本書のテーマであり、事件の背景に関与しているミシシッピをはじめとする南部に暮らす中国系アメリカ人の歴史だ。「黒人でなくたって、中国人じゃないか。白人にはなれない」「ここはミシシッピよ、黒とほかの色では大違いじゃないの・・・」
ニューヨークに暮らす中国系アメリカ人のリディアの目を通してつぶさに描かれる自分たちの歴史の一面がずしりと重たい。
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