底惚れ [book] [青山文平]
青山文平/徳間書店/お薦め度 ★★★★☆
「江戸染まぬ」の続き
「江戸染まぬ」で俺の想いと芳の想いが結末で違え、芳に刺される。金創医、戦さ場で刀疵なんかを手当てしてきた医者、のお陰で一ヶ月で江戸に戻れた。その間の治療代とお礼は芳が置いて行った小判で賄えた。
江戸に戻った俺は芳の里へ行ってみたが、そこには芳の姿はなかった。それならひと悶着起こせば世間が騒ぎ、芳に知れるのではないかと考えるがなかなか実行に移せない。
そのうち女郎になって岡場所にいると思うようになる。入江町の千三百人の女郎を当たることにする。そんな折り、路地番の頭、銀次に出会い俺の運命は変わる。
銀次の計らいで俺が女郎屋を営むことに・・・女郎にやさしい?素人経営者として。噂はたちまち広がるが芳はいまだ見つからない。芳と一緒に働いていた下女、信の力を借り、ビジネスはどんどんどんどん拡大する。
芳の行方を待ち続ける俺に銀次が刺されの一報が・・・いまわの際に銀次が漏らしたことが、俺と芳と信の想いをひとつにする。
俺、芳、銀次、信の四人の登場人物しかいないが違えた想いが繋がる濃厚な物語はさすが青山文平だ。誰が誰に底惚れ?
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