天国への階段 [book] [~'23 国内編]
白川道/幻冬舎/お薦め度 ★★★★★
驚嘆のミステリー巨編!
家業の牧場を騙し取られ、非業の死を遂げた父。最愛の女性にも裏切られ、孤独と絶望だけを抱え19歳の夏上京した柏木圭一は、26年の歳月を経、若き実業家となった。
元強盗犯・及川広美が刺殺された。及川を逮捕した定年間近の刑事・桑田則夫は、自ら志願して捜査を開始した。その最中に不可解な第二の殺人事件が起きる。
孤独と絶望を抱えた男は、罪を礎に巨大な財を成した。そして今、金だけを武器に壮絶な復讐の階段を昇りはじめる。復讐のターゲットとシナリオとは・・・
こう書いてしまうと、ハードボイルド小説のキャプションになってしまうが、実は恋愛小説!?
26年前、柏木は父の命を奪った牧場主の娘・亜木子と将来を約束していた。しかし、亜木子は二世議員・江成達也の政略結婚の道具となってしまった。
上京した柏木はがむしゃらに働き、そこで知り合った及川に実の弟のように面倒をみてもらった。及川が通うバーで英子と知り合う。
過去に蒔かれた悲劇の種子から、二つの命が生まれた。ひとりは亜木子の娘・未央。もうひとりは及川の子供として育てられた・一馬。
柏木、亜木子、未央。柏木、及川、一馬。ふたつのトライアングルが交錯しながら、各々の人生が軋みだす。
題名の「天国への階段」は、柏木と亜木子がふたりで聴いた、レッド・ツェッペリン、「天国への階段」から取られている。
「天国への階段はお金で買えるのか・・・」。本書にふさわしい題名である。ハードボイルドとして読んでも、恋愛小説として読んでも一級の作品である。
2001/03
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