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死ぬほどいい女 [book] [ジム・トンプスン]

sample48.JPGジム・トンプスン/扶桑社/お薦め度 ★★★★☆ 

はまってしまいます!

このテンポ、この語り口、この展開・・・なんともいえない心地よさ?さすがジム・トンプスン・・・

どうしよもない訪問販売員、フランク・ディロン。月賦の取り立てでなんとか食いつないでいる始末。とある訪問先で、女に出会う。彼女の名前はモナ。伯母に売春まがいのことをやらされている女。その体は焼けた鉄棒でつけられたようなみみず腫れがあった。

モナはなんてかわいい子なのだろうと思い、自分は古女房・ジョイスのような性悪女ではなく、なぜモナと結婚しなかったのか!?

家に帰り、上着と帽子を脱いだ。何ひとつまともじゃない。どっちを見ても、散らかり放題でごみがたまっている。これまでにないみごとな左フックでジョイスはバスタブにはまりこんだ。スーツケースを車に積み、町を出た。二、三時間つぶし、家に戻った。女房はいなくなっていた。寝室の窓はいっぱいに開けられ、雨がベッドを水びたしにしていた。おれの服は?おれにはもう服はなかった。

モナはばあさんがどこに金を隠しているか知っていた。そこでおれを留置場から出すのに必要な額と、今ここに持ってきた分の金をくすねた。さっきまで重窃盗容疑で勾留されていた、このおれとふたりで逃げて、末永く幸せに暮らせるというわけだ。

きみはなにもしなくていい。ただ、おれが持っていけるように金の用意をしておいて、おれが出て行ったあとで警察を呼ぶだけでいい。

物語はトンプスン的に、粗暴、無計画、行き当たりばったりに進められ、急降下するように破滅の道を落ちてゆく。

この安定を失って行く過程のテンポ、語り口、物語にはまってしまうひとりの自分が存在する。いらいらすような心地よさ・・・

原題は”a hell of a woman"直訳すると”すげえ女”、”ものすごい女”、だれが死ぬほどいい女なのか!?

2002/05

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