SSブログ

シンパサイザー [book] [~'23海外編]

sample1.jpgヴィエト・タン・ウェン/早川書房/お薦め度 ★★★★

MWA賞最優秀新人賞、ピュリッツァー賞受賞作

1975年、ヴェトナム戦争終結、南ヴェトナム軍の大尉、本書の語り手、は将軍らとともにアメリカに渡る。避難民としてアメリカの支援を受ける・・・

大尉はフランス人宣教師がヴェトナム人の少女に産ませた私生児、アメリカで学び、英語はネイティブ、嘗ての教授の働きですぐに職場を得るが、将軍らをはじめとする人たちは難民生活に苦労する。

将軍の命を受けて反攻計画に暗躍する大尉は、実は北ヴェトナムのスパイだった。再起をかけた反攻計画は逐次、大尉の親友であり義兄弟のハンドラーのもとに報告がなされていた。

反攻計画がいよいよ実践されるに当たり、ハンドラーからヴェトナムに戻るなと指示されたにもかかわらず大尉は北ヴェトナムに渡るが、あえなく捕まり再教育キャンプに送られる。そこで自分たちが信じてきた革命の実態を見せつけられる!

語り手の大尉がアメリカサイド、ヴェトナムサイド、両面からヴェトナム戦争を見ることが出来る、アメリカ系ヴェトナム人だということ。著者も同様アメリカ系ヴェトナム人。ここが本書の大きなポイント。

それを象徴する言葉が「独立と自由以外に大切なものは何もない」から「何もないが独立と自由以外に大切である」という語り手の変説。南ヴェトナムがアメリカに生かされて姿と北ヴェトナムの理想が劣化していく姿の両面が語られている。

確かに凄い小説であるが、「」のない会話、圧倒的な言葉の力・・・頁をめくる手がなかなか進まないのも事実。ジョン・ル・カレ的なスパイ小説ではないないので覚悟を決めて読んでほしい!

タグ:MWA賞
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。