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ありふれた祈り [book] [ウィリアム・K・クルーガー]

sample5.jpgウィリアム・K・クルーガー/早川書房/お薦め度 ★★★★☆

MWA賞最優秀長篇賞受賞作

怒りと縁を切る覚悟が出来ている牧師の父、芸術家タイプの母、音楽の才能に恵まれた姉、吃音だがクールな弟、そして13歳の私、フランクのひと夏。

1961年、ミネソタの田舎街。その夏は鉄道事故として処理された少年の死から始まった・・・それに続き見知らぬ男の死体を同級生の大叔父、インディアン、が発見する。小さな街に広がる人々の憶測。

牧師一家を取り巻く小さなコミュニティ、それぞれの人間関係、母の元婚約者で姉の音楽教師、一家のサポーター役の雑役係・・・が丹念に描かれていく。

事件は更に続く。姉のアリエルが川で死体で発見され、検視の結果、妊娠していたことが判明。恋人が最重要参考人となるが確たる証拠は見つからない。事件をきっかけに壊れていく母・・・

そんな中、兄と弟、ふたりが垣間見る、のぞき見る大人の世界は13歳の少年と弟にとっては濃密な、人生を変えたものだった。

切ない結末が待っているが、それを救ってくれたのは40年後の後日談。来年度のベストミステリー間違いなしの秀作!


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