凍りつく心臓 [book] [ウィリアム・K・クルーガー]
ウィリアム・K・クルーガー/講談社/お薦め度 ★★★★☆
クリント・イーストウッド監督・主演
元保安官のコーク・オコナー、本書の主人公、は弁護士の妻・ジョーから離婚話を切り出される一方、ひそかに愛人・モローのもとへ通う。何とか子供たちとやり直せないかと、独り善がりで身勝手な考えをめぐらす。
そんな折、雪嵐の中新聞配達に出た少年が行方不明となる。最後の配達先と見られる判事宅で、老判事の死体が発見される。少年の母親から助けを求められたコークは、現職の保安官を差し置いて事件に首を突っ込んでいく。
ラストシーンでコークがジョーに向って、「これから、正義が始まるんだ」
・・・「何がばかなのか教えてやろう、ジョー。法律がなんでも面倒をみてくれると思うこと、法律がすべてだと思うことだ。そこをどけ、ジョー」
1970年代の高倉健を彷彿させる安っぽい台詞?かもしれないが主人公の心情をよくあらわしている。ここに共感したクリント・イーストウッドが監督・主演で名のりを上げたのではないか・・・
私生活ではインデアンの血を引く、身勝手な、家族愛にうえた、女には優柔不断な、ダメ主人公。
その反面、西部開拓史魂、古き、強いアメリカを象徴する主人公。まさにこのコントラストがたまらない。
最新刊「血の咆哮」が先月刊行されている。本書はちょっと古いが2001年の既刊。
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