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今ふたたびの海 [book] [ロバート・ゴダード]

ロバート・ゴダード/講談社/お薦め度★★★★

「千尋の闇」、「永遠に去りぬ」、「惜別の賦」、「一瞬の光の中で」・・・トマス・H・クック同様、年末の何とかベスト・テンには必ず顔を出す著者。

物語の発端はバブル崩壊の語源となった「南海泡沫株事件」。

1711年南海株式会社が、ロバート・ハーリー伯爵によって設立。南海とは、南アメリカ大陸の海岸のことです。この会社は、イギリス政府によって、南アメリカ大陸との貿易の独占権が与えられ、その見返りに政府の負債の一部を引き受けた。

当時イギリスの東インド会社が、目覚しい発展を遂げていたこともあり、連想から、この株の将来性を先取りして人気は急激に高まった。1720年のことです。1月には、わずか128ポンドだった株価が、6月には、1050ポンドに暴騰。しかし、南海株の実体は、次第に皆が知ることとなり、大暴落が始まった。同年9月には株価は175ポンドまで下落してしまった。

これにより多くの人が、破産。南海株は、バブル崩壊以降、南海泡沫株と呼ばれるようになった。イギリス経済は、大混乱になり、責任者の魔女狩りが始まり、 命の危険を感じたロバート・ハーリー伯爵は、大陸に逃げ21年間身を隠す。多くの南海会社関係者や関与した政治家が、自殺したり、財産を没収されたり、刑務所に入れられた。

本書はバブル崩壊後の1721年1月から始まる。借金のかたに、一大疑獄事件の裏帳簿をイギリス国外に持ち出すはめになった、地図製作者・スパンドレル。オランダで思わぬ罠にはまり裏帳簿を奪われてしまう。ヨーロッパを舞台にスパンドレルの苦難の追跡劇が始まる。

実在の人物と架空の人物を巧みに配した一大歴史ロマン小説に仕上がっている。さすが名匠ゴダード!


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