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一瞬の光のなかで [book] [ロバート・ゴダード]

ロバート・ゴダード/集英社/お薦め度★★★★★

語り部ゴダードが仕掛けた謎また謎。そして、その背景にある大きな秘密とは?

主人公のカメラマンが冬のウィーンでひとりの女性と出会い、写真を撮るのだが、会った瞬間から彼はその女性に恋してしまう。もちろん、相手の女性のほうも彼の情熱に応え、しばしふたりは我を忘れる。

数日間の濃密な時間を過ごしたふたりは、英国での再会を約束して一旦別れる。主人公は再会までの間、妻と娘にこの事を告げなければならなかった。

その後、女の消息はばったりと途切れてしまった。妻子を捨て、写真家としての職も捨て、彼女を求めてあらゆるつてを捜しまわるが、その行方は知れない。やがて二ヵ月後、ようやく掴んだ情報は、彼女が診察を受けていた心理療法医によるものだった。

その医者によると彼女は、170年前の世界ではじめて写真術を完成させたかもしれない女性の生まれ変わりだという。彼女が吹き込んだ過去の物語と現在の物語が交錯しながら物語は進行する。

映像的な手法が主流を占める現在、謎が謎を呼ぶ設定は片時も目を離せない面白みがある。それは「千尋の闇」が初めて紹介された時から変わらないものだ。

女の行方、女の素性、女の過去・・・すべてが主人公にとっても謎。読者にとっても謎。超オススメの一冊。


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