SSブログ

深川駕籠 [book] [山本一力]

山本一力/祥伝社/お薦め度 ★★★★

日本一の駕籠かき、新太郎と尚平の連作短編集。

新太郎は、老舗両替屋の総領息子。なに不自由なく育ち、臥煙(火消し)組に入って半年足らずでまとい頭になった。町鳶に先駆け火元の屋根を奪ったまではよかったが、雷に撃たれ、二丈(約6メートル)の高さから転げ落ちた。それ以来身体が高い場所を怖がるようになった。

尚平はわけあって、本所の相撲部屋から追い出された。二十三歳の秋祭りで網元の息子と結びで立ち合い、相手の変化をもろともせず土俵下へ突き飛ばした。逆恨みした網元は尚平を罠にかけ、力士への道を絶たせただけでは収まらず、やくざ者を江戸に飛ばして襲わせた。

立ち回りの最中、ふたりは富岡八幡宮で出会い、木兵衛店に住み着いた。新太郎は父親から勘当され、実家の人別帳から消されている。浜から逐電した尚平も無宿者だった。

辻駕籠の届けは木兵衛が手配りした。株の賦代は、店賃に加えて毎月取り立てることで、ふたりは駕籠かきとなった。いまでは江戸府内なら、町名を聞いただけでぴたりと着けられる。

笑いとペーソスを乗せて走る新太郎、尚平の深川駕籠。「うらじろ」、「紅白餅」、「みやこ颪」と続く連作は圧巻!


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0