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草笛の音次郎 [book] [山本一力]

山本一力/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

股旅:ばくち打ちなどが足に任せて諸国を歩くこと。股旅物:ばくち打ちを主人公にした小説、映画など。最近とんと耳にしないことば、股旅、股旅物・・・古色蒼然とした題材?を一力はどう料理するのか。

先日、あるトーク番組に一力が出ているところを、たまたま見ました。第一印象は「いい声」をしているな、ということでした。事業の失敗で背負った借金が二億!債権者にモノを書くことで借金返済をお願いしたところ、拒絶はされなかった、と。それなら死に物狂いでモノを書こうということを決めた・・・毎朝、夜中が仕事タイムなので、奥さんの枕元に、その晩書いた原稿を置くことが日課となった。その原稿を見た奥さんは、次はどうなるの、次はどうなるのと原稿を楽しみにしてくれるようになった。女房がそんなに面白いならということで枚数を重ねた結果が、直木賞だった。映画のカット割りを書くように、物語を進行させる。そんな感覚だった、と・・・そう言われると、一力の作品は映画のカット割りのように物語を進行させている。本書も然りだ。

本書をひとことで言えば、代貸に見込まれた音次郎が、股旅を通じ、周囲の暖かな手助けを得、成長していくさまを描いた作品。一力の音次郎に対する暖かな眼差しが感じられる作品と言ってもいい。


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ひろ009

はじめまして。
トラックバックさせて頂いたひろ009と申します。
山本一力さんをかなり読まれているようですね。
私も旧作から少しずつ読み進めて、やっと「草笛の音次郎」に
たどりついたところです。
様々な味わいの作品を楽しんでいます。
by ひろ009 (2005-07-04 21:02) 

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