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狼花 新宿鮫Ⅸ [book] [大沢在昌]

大沢在昌/光文社/お薦め度★★★

ちょっと残念!?

新宿鮫シリーズ最新刊、五年半ぶりの待望の一冊!?

インタビューのなかで、
「・・・今回の『狼花』というのは大きな分岐点になった作品だなと思います。それは、読者にとっても鮫島にとっても、もちろん本に書いている俺本人にとっても、曲ってしまった。ある角を曲ってしまったんだな、という思いがいますごく強くある・・・」

なんで曲る必要があるのだろうか?
「マンネリの美学」があってもいいはず。その好例はマイクル・コナリーのハリー・ボッシュ・シリーズ、悪例はパトリシア・コーンウェルのケイ・スカーペッタ・シリーズ。新宿鮫シリーズも前者であったはず。しかし、本書はそうではない。曲ってしまったのだ。

大沢在昌も疲れてしまったのかしれない。次作に期待するのはもうむずかしいかも? 新宿鮫シリーズの終焉?

追伸:評価の悪さに、ひょっとしたらもう一作書いてくれるかもしれない・・・!?


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魔女の笑窪 [book] [大沢在昌]

大沢在昌/文藝春秋/お薦め度★★★★

日本のどこかにある島。外からくる男には『天国』。そこに暮らす女にとっては『地獄』。逃げることも許されず、それこそ最下級から最高級の娼婦までそろっているという。そこから島抜けした主人公・水原冬子、男を完璧なまでに見抜く特技を生かし、裏家業のコンサルタントを営む。

裏切りとだまし合いの社会、ひた隠しにする過去、いつしか「地獄島」の番人からの逃亡劇が始まる。

久しぶりの、「天使の爪」以来、女主人公を登場させたハードボイルド作品。表題とも関係するしゃれた会話、
「きれいな片笑窪だね」
「昔は両方あったの。ひとつは落としたみたい」
「どこで?」
「たぶん地獄」
「地獄ってどんなところか知ってるの?」
「もしかしたら」

シリーズ化するのかどうかわかりませんが、もう少し続きを読んでみたい気もします。


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ニッポン泥棒 [book] [大沢在昌]

大沢在昌/文藝春秋/お薦め度 ★★★☆☆

なんともフラストレーションの残る展開。在昌にしてはイマイチ、切れがない。ファンだけに厳しい採点となってしまう。

『ヒミコ』、わかりやすくいえばシミュレーションソフト。可能な限り、いろいろな国の政治、経済、文化、流行、軍隊・・・の情報を集め、とくに人物情報に重きを置いた。年齢、学歴、趣味、星座、血液型・・・

『ヒミコ』の最も優れた能力は『イレイス』、入力された一万人のうち誰かを消すことで、その後の国内情勢や国際情勢の変化を予測できる。

クリエーターによって封印された『ヒミコ』を解く鍵として指名された、アダム四号の尾津とイブ二号のかおる。見知らぬふたりが出会うことで、何かが生まれ、『ヒミコ』の鍵となる。

ふたりの行方に立ちふさがる面々、公安、CIA・・・、どっちが敵でどっちが味方なのか。最後の最後までヤキモキさせる。

在昌には、シミュレーションソフトというようなデジタルな題材は似合わない!?アナログなもの、麻薬、失踪者・・・、が似合っていると、わたしは勝手に思っている。


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パンドラ・アイダンド [book] [大沢在昌]

大沢在昌/徳間書店/お薦め度 ★★★★☆

高洲康彦、41歳。青國島の保安係員、保安官として短期採用された元刑事。ひとりの老人の死をきっかけに、青國島民の”秘密”に否応なく近づき、孤島という密室状態の中で孤軍奮闘するはめになる。本当はのんびりと過ごしたかったのに・・・

別れた妻が現職のキャリア警察官だったり、アメリカ統治下から日本に返還される件の噂が麻薬にまつわるものだったり、役所公認の慰安所(ちょっと古い言い方・・・)があったりと、飛んでるプロットと地味な事件の組みあわせは、「さすが在昌!?」、それとも「物足らない在昌!?」

ここのところ地味目の大沢在昌であります・・・


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帰ってきたアルバイト探偵 [book] [大沢在昌]

大沢在昌/講談社/お薦め度 ★★★★★

僕は高校生のアルバイト探偵、冴木隆。戸籍上であって、血のつながっていない父親、冴木涼介と広尾サンタテレサアパート、都心の一等地、で同居。何せ、不良父親の職歴は華麗で、「商社マン」に始まって、「オイルビジネスマン」、「ルポライター」、「行商人」ときたあげく「秘密諜報員」。現在の仕事は私立探偵。「サイキ インヴェスティゲイション」のプレートが部屋のドアにかかっている。

仕事をもちこんでくるのは父親の昔馴染みで、いまは「歩く国家権力」といわれるほど出世した、内閣調査室の島津さんくらいなもの。そこで父親の仕事を手伝ってきた僕は、①爆弾を背中にしょわされる、②殺し屋をおびきだす囮になる、③遠い異国のジャングルでワニのえさにされかかる(不思議の国のアルバイト探偵)、④完成途中のジェットコースターで拷問にかけられる(アルバイト探偵-拷問遊園地)、⑤撃たれる、⑥刺される、⑦殴られる、は数えきれない、そのあげく⑧高校を三年で卒業することに失敗。さすれば、「歩く国家権力」島津さんに、東大推薦入学の労をとっていただき一発逆転の可能性に賭けるしかない。

大沢在昌、面目躍如のジェットコースター・ノベル。シリーズ第七弾、結構な御手前でした。


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天使の爪 [book] [大沢在昌]

大沢在昌/小学館/お薦め度 ★★★★★

理屈ぬきにスカッとする一冊。「天使の牙」の映画化とあいまって宣伝効果抜群。

河野明日香巡査の脳が、脳死をひきおこした情報提供者、神崎はつみの肉体に移植されたのだ。これによって河野明日香の精神は生きながらえたが、肉体は消滅した。公式には、河野巡査は殉職し、二階級特進によって警部補となった。

一方、神崎はつみは、精神こそ消滅したものの、その肉体は存在し戸籍も抹消されずに残った。

河野明日香、神崎はつみ、ふたりとも身寄りはなく、移植手術の事実はごく一部の関係者にのみ伝えられた。

こうして河野明日香、戸籍上は神崎はつみ、のちに改名して神崎アスカ、は麻薬取締官として第二の人生を歩むことになった。

警視庁勤務時代、アスカにとっては仕事の相棒であり婚約者だった古芳和正警察官。ふたりは複雑な思いを胸に最強のタッグを組むことになる。

全裸の女が麻薬取締部を乗っ取り、交渉役に指名されるアスカ・・・冒頭から巻末までしっかり愉しませてくれる!


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秋に墓標を [book] [大沢在昌]

大沢在昌/角川書店/お薦め度 ★★★★☆

世捨て人・松原龍、愛犬のカールと、勝浦で釣り三昧の傍ら、漫画の原作脚本を書いている。久々の梅雨晴れ、仕事を片づけ、カールと共に釣りに出る。「何ですか、そのお魚」という声に振り向く。一瞬息を呑む。それほどきれいな女性だった。生身でこれほどの美人を見るのは、東京を離れて以来だった・・・

その夜、嗅ぎ慣れぬ匂いに目覚めた。匂いの方角は老画家の別荘、車のキィをとる。鎮火を見届け自宅に戻る。そこに昼間砂浜で会ったときと同じ服装だが、頬が墨にでも触れたように黒ずんでいる彼女がいた。名前は内村杏奈。老画家のモデルとして別荘にきていたという。一晩の宿を提供し、翌朝、鴨川の駅まで送る。

「砂の狩人」を彷彿させるイントロ・・・

火災の四日後、杏奈が龍のもとに現われる。警察に追われているのではないようだ。しかし、何かから逃げている!?龍は杏奈に対して無関心を装うことにした。龍と杏奈の共同生活は長続きしなかった。軽井沢行きの準備中に杏奈が消えてしまった。

惚れた女の後を追う龍・・・ここがいつもの大沢在昌らしくないハードボイルド。次々に明らかになる杏奈の素性。日系企業との関係・・・アメリカの友人をも巻き込み、杏奈探しが始まる。

いつもとひと一味違う一冊!?仕上げは在昌流ハードボイルド!?


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砂の狩人 [book] [大沢在昌]

大沢在昌/幻冬舎/お薦め度 ★★★★☆

ある事件がきっかけで警視庁を追われ、今は千葉の海で漁師の真似事をしている西野。西野の元を訪ねたのは、時岡恵美。警察庁刑事局捜査第一課、警視正。自分の身体を投げ出してまで西野を担ぎ出そうとした事件とは・・・

この二ヶ月間で、同一犯と思われる三件の殺人事件が発生していた。殺害方法は、鋭利な刃物を使った刺殺。いずれの現場からも金品が奪われたようすはなく、あくまでも殺害を目的とした犯行と判断できる。凶器以外の共通点は二点。まず第一は、いずれもマル害の咽頭部の携帯電話が挿入されていた。もう一点は、マル害の父親がいずれも指定暴力団の組の代表者ということだ。

三つの組に共通して対立し、しかも組長のカタギの身内にまで手を出すとすれば、日本のマルBじゃありえない。とくに危険なのが外国人だと妨対は見ている。暴力団対外国人グループの対立関係が顕著化、殺し合いに発展する可能性もある。殺し合いは結果として一般市民を巻き込むことになる。

「あなたしかできない。狩をするのも、仕止めるのも、それぞれできる人間はいる。でも両方をできるのは、あなたしかいない」
時岡の依頼に応える西野・・・事件の鍵を握る時岡が背負う性・・・

大沢在昌、十八番、新宿を舞台にしたハードボイルド!?


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涙はふくな、凍るまで [book] [大沢在昌]

大沢在昌/講談社/お薦め度 ★★★☆☆

日本一不運なサラリーマン・坂田勇吉。食品会社の宣伝課勤務。前回は大阪出張でやくざと渡りあったが、今回は北海道を舞台にロシアン・マフィアと渡りあうはめになる。

大沢在昌にしては珍しいコメディータッチの作品。

本人も後記の中で、「・・・まったくの素人さんを主人公にした作品は、私の場合そう多くはない。新鮮ではあるが、正直、話作りが厄介だな、という気持ちもある。巻きこまれ型というのは、どうしても話がパターン化しやすいのである・・・」

偽らざる気持ちが作品にあらわれていると思います。私はそう感じましたが・・・このシリーズはこれで終了とし、「闇先案内人」の続編に取りかかってください。ファンはそれを望んでいます!?

追伸:出張中に手持ちの本を読み終え、急遽購入した一冊です。選択肢が狭いと辛いですね。


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灰夜 [book] [大沢在昌]

大沢在昌/光文社/お薦め度 ★★★★☆

新宿鮫、シリーズ第八弾!舞台は始めから東京を離れ、尚且つレギュラーの登場人物は、鮫島以外は誰も現われない。

自殺した元同僚・宮本の故郷での七回忌によばれた鮫島。非番に有休をあわせ、三日間の休みをとった。それにはわけがあった。法事にでたあとの二日間を、できれば自分が一方的に傷つけてしまった晶とすごしたいと思っていた・・・

ホテルに戻る鮫島に麻取(麻薬取締役官)の寺澤が接触してきた。法事に出席していた宮本の旧友・古山の周辺を調査しているとのことだった。その夜、鮫島は二人組みに拉致され、牧場の檻に監禁されてしまった。

古山が身代わりに監禁されることで鮫島は解放されるが、麻取の寺澤は行方不明となっていた。

見知らぬ街、最悪の状況下、凶悪な敵と孤独に戦う鮫島。そこには宮本を介した男の友情と熱い怒りがあふれていた。もう四十路近い鮫島だが、まだまだ男の熱きおもいが伝わってくる。


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