ニッポン泥棒 [book] [大沢在昌]
大沢在昌/文藝春秋/お薦め度 ★★★☆☆
なんともフラストレーションの残る展開。在昌にしてはイマイチ、切れがない。ファンだけに厳しい採点となってしまう。
『ヒミコ』、わかりやすくいえばシミュレーションソフト。可能な限り、いろいろな国の政治、経済、文化、流行、軍隊・・・の情報を集め、とくに人物情報に重きを置いた。年齢、学歴、趣味、星座、血液型・・・
『ヒミコ』の最も優れた能力は『イレイス』、入力された一万人のうち誰かを消すことで、その後の国内情勢や国際情勢の変化を予測できる。
クリエーターによって封印された『ヒミコ』を解く鍵として指名された、アダム四号の尾津とイブ二号のかおる。見知らぬふたりが出会うことで、何かが生まれ、『ヒミコ』の鍵となる。
ふたりの行方に立ちふさがる面々、公安、CIA・・・、どっちが敵でどっちが味方なのか。最後の最後までヤキモキさせる。
在昌には、シミュレーションソフトというようなデジタルな題材は似合わない!?アナログなもの、麻薬、失踪者・・・、が似合っていると、わたしは勝手に思っている。
濫読ひでと申します。
この本、ちょっと後半は尻すぼみになってしまったのが残念ですね。
by 濫読ひで (2005-05-11 23:29)