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夜の記憶 [book] [トマス・H・クック]

トマス・H・クック/文藝春秋/お薦め度★★★★

「死の記憶」、「夏草の記憶」、「緋色の記憶」に継ぐ、1998年の作。

「記憶三部作」は非常に評価の高った作品です。各社の年度末ランキングでは、それぞれとも上位を占めていました。

現在と過去が入れ替わり、現実が回想と交錯して展開していくのはクックの作品に共通するパターンですが、本作品では、主人公がミステリー作家であることも手伝って、現在と過去が交錯するなかに、さらに主人公の作品中の登場人物(刑事と悪人)、シーン、セリフが重なって、いちだんと複雑な構造になっています。

また、もうひとつの伏線は、主人公の姉の死。十三歳の少年だったある夏の夜、ふいに農場に侵入してきた凶悪な男が、少年の目の前で最愛の姉を一晩中責め苛んだあげく殺害したことです。

これらが少々精神分裂症ぎみに?もつれ合いながら展開して行きます。この分裂症ぎみなところが好きか嫌いで、本作品の評価はわかれます。私は良い方に理解しました(少々分裂症ぎみなところがありますので・・・)。

題名の「夜の記憶」は三部作にあやかったようなつけ方のように思いますがいかがでしょうか?題名で売れ行きが左右されることを思うと、こういう題名のつけ方も仕方がないのかな!?確率の高い作家には違いありませんが・・・

追伸:読み終わった後で、カバーの絵を再度見ていただくことをお薦めします。


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蜘蛛の巣の中へ [book] [トマス・H・クック]

トマス・H・クック/文藝春秋/お薦め度★★★★

2005年MWA賞最優秀ペイパーバック賞ノミネート作品

主人公、ロイ・スレーター、寄宿舎学校の教員、生まれ故郷キンダム・シティへ父親を看取るため二十数年ぶりに帰ってきた。いまでも弟がガールフレンドの両親を撃ち殺し、留置場で首を吊ったとはとうてい信じられなかった。

否応なしに、弟の事件に首を突っ込むことになる。ロイを疑った元保安官、その跡を継いだ息子、かっての恋人・ライラ、何かが燻ぶり続けている父親・・・二十数年前の事件がロイの周りを目まぐるしく回る。

結果として復讐劇の様相を呈してしまったが、その重苦しさを救ってくれたのは、相容れなかった父とロイの和解。

トマス・H・クックらしい色合いの物語。


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