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彼女のいない飛行機 [book] [ミシェル・ビュッシ]

sample1.jpgミシェル・ビュッシ/集英社/お薦め度 ★★★★

フレンチ・ミステリー

1980年12月、イスタンブール発パリ行きのエアバスが山中に墜落、乗員乗客168名に炎が襲いかかった時も、ひとりの赤ん坊、女の子、が絶叫することはなかった。

エアバスには同じ年頃の赤ん坊がふたり、リズ・ローズとエミリー、乗っており、どちらの両親も死亡。両家、お金持ちのカルヴィル家、つつましい生活を送るヴィトラル家、とも女の子は自分たちの孫だと主張、譲らない。

最後は司法の手により裁定がくだされた。赤ん坊はヴィトラル家のエミリーだと・・・

カルヴィル家に雇われた私立探偵の18年に渡るノート、孫がエミリーなのかリズ・ローズなのか、に翻弄させられるエミリーの兄マルクと事故後の両家が並行して語られる。エミリーは本当にヴィトラル家の孫だったのだろうか!?

探偵は契約が切れる寸前、カルヴィル家の祖母に、1980年の事故を報じた新聞に「奇跡の子」は誰かを示す記事が載っていることを告げる。

ありがちな展開?ではあるが、思わせぶりな口調で読者をじらし続ける筆者。マルクと一緒に探偵のノートを読んでいる自分もじりじり・・・なんとも心憎い演出!

昨年刊行された「黒い睡蓮」も秀逸な叙述ミステリーなのでぜひ読んでほしいものです。

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