土漠の花 [book] [月村了衛]
月村了衛/幻冬舎/お薦め度 ★★★★
日本推理作家協会賞受賞作
ソマリアでの海賊対処行動に従事するジプチの自衛隊拠点に、墜落したヘリの捜索要請が入る。陸上自衛隊第一空挺団は12名の警衛隊を組織、捜索地点へ向かう。
事件は墜落現場で起きる。ひとりの女が助けを求めて来た。わたしはヨマール・カダン小氏族のスルタンの娘アスキラ、石油の利権をめぐりワーズデーンが突然攻め込んで来て虐殺を始めたので逃げて来たのだ、と。
隊長はアスキラを避難民として認定し保護する。
そのことが自衛隊vs.ワーズデーンの戦いが始まりとなる。
ちょっと待った!PKO活動で自衛隊が敵と戦えるの?
政府は自衛隊をPKO活動で海外に派遣する際、戦闘行為に巻き込まれないように細心の注意を払ってきた。戦闘行為に巻き込まれると、憲法9条が禁止する海外での武力行使に直結するからだ。
何かとお騒がせのI防衛大臣は、2月の予算委員会で、「戦闘行為」というと憲法9条に違反しちゃうから、南スーダンで起こっているのは「武力衝突」だ、と!
月村了衛十八番の大活劇だが、PKO活動における自衛隊の本音と前述の政府の建前もしっかり描かれている。あっぱれ!
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