ロスト・ケア [book] [葉真中顕]
葉真中顕/光文社/お薦め度 ★★★★
日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作
超高齢化社会の介護問題を真正面に据えた社会派ミステリー。
介護サービスを提供する側、提供される側、その両側に内在する問題。提供する側からすると介護報酬の引き下げによる人材難、低賃金、重労働・・・その使命感と反比例する環境。一方提供される側は虐待、悪質なサービス・・・人間の尊厳を無視される環境。
43人も殺害した凶悪犯?の物語。
凶悪犯に?をつけたのは表題の「ロスト・ケア」。「・・・殺すことで彼らの家族を救いました。僕がやっていたことは介護です。喪失の介護、ロスト・ケアです」。
我々の価値観を揺さぶる展開。父親を介護施設に預ける検事を登場させ、キリストの教えを示し、介護ビジネスの内幕を暴露?・・・社会派の顔だけでなくミステリーの要素も兼ね備えた一冊。
追伸:犯人をデータ、出勤簿と犯行日、から解析していくシーンはマーケティング発想でなかなか面白かった!
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