さらば甘き口づけ [book] [海外ミステリー遺産]
ジェイムズ・クラムリー/早川書房/お薦め度 ★★★★★
海外ミステリー遺産
1978年刊 アメリカ現代文学の代表作!?
私立探偵スルーのもとに奇妙な依頼が・・・依頼主は元妻、西海岸を転々と飲み歩いているアル中の作家トラハーンを連れ戻して欲しい、と。愛車をかってアル中の後を追い、先回りをするがなかなか捕まらない。やっとのことでトラハーンを見つけ出す。アル中?のブルドッグと一緒に飲んだくれていたところを。
その酒場でひと悶着、トラハーンは尻を負傷、入院に付き合うことになるスルー。その間に酒場の女主人から10年前に失踪した娘を捜してほしいと依頼を受け、待機時間を失踪事件にあてる。
呑んだくれ同士のスルーとトラハーンにいつしか切っても切れない縁が・・・トラハーンをめぐる女たち、一緒に暮らす元妻と母、現在の妻、とひと筆も書けなくなったアル中作家の奇妙な関係に付き合わされるはめに。
失踪事件と女たちのドラマがいつしかリンク、結末に向かう件とスルーの台詞がいいですね。
「大体が馬鹿げた仕事なんだし、ぼくはそれを馬鹿げたやり方でやっているんでしょうな。ぼくにはそういうふうにしかできないんです。誇りと根性ートラハーンに効くのはその二つです」「人間の性格とはそういうものなんです」
超一級の人間臭いハードボイルドでありエンターテインメント!
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