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グロテスク [book] [桐野夏生]

桐野夏生/文藝春秋/お薦め度 ★★★★☆

「東電OL殺人事件」-被害者・渡辺泰子の昼の顔と夜の顔。昼の顔、東京電力、総合職のキャリア。夜の顔、円山町で毎日立ち続け、終電に乗る-を下敷きに、高学歴の主人公が奈落に落ちていくさまを、桐野はこう解く。

まず、桐野は被害者、佐藤和恵なる人物を設定する。佐藤は地元の小学校、中学校を経て、Q女子高等学校に進学し、Q大学経済学部に入学。地元の中学校からQ女子高等学校に進学することが、後で大きな転換期となる。Q大学を卒業した佐藤は父親の勤めていたG建設株式会社に入社。G建設始まって以来の女子総合職の先駆けとして入社し、将来を嘱望されていた。

続いて、桐野はもうひとりのキーパーソン、平田百合子を登場させる。スイス国籍を持つ父と日本人の母の次女として生まれ、スイスにて母が死亡したため、父と別れて一人帰国。長女は母の父と一緒に暮らしていたため、平田は米国人の知人宅に寄宿することになり、Q学園中等部に編入した。平田はこの後、Q女子高校に進学したが、高校三年の時に素行不良で退学処分になっている。生まれついての娼婦として物語の中では重要な役割を果たす。

百合子の姉を語りべに物語は展開する。百合子の手記、張(被告人)の上申書、和恵の日記と・・・

勝ちたい。勝ちたい。勝ちたい。一番になりたい。尊敬されたい。凄い社員だ、佐藤さんを入れてよかった、と言われたい。

誰か声をかけて。あたしを誘ってください。お願いだから、あたしに優しい言葉をかけてください。綺麗だって言って、可愛いって言って。お茶でも飲まないかって囁いて。

桐野が解く「東電OL殺人事件」。


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