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黒い囚人馬車 [book] [~'23海外編]

sample258.JPGマーク・グレアム/早川書房/お薦め度 ★★★★☆  

MWA最優秀ペイパーバック賞受賞作

舞台は1876年、アメリカ合衆国独立100周年を記念するフィラデルフィア万国博覧会。

1865年に南北戦争が終結。産業革命による統一的国内市場の制覇をめざす北軍が勝利を収める。荒廃後の新たな旅立ちをむかえるアメリカ合衆国。

日本はどいう時代だったかと言えば、こちらも明治維新の真っ只中。戊辰戦争、廃藩置県、学制発布、徴兵令、西南戦争・・・と続き、自由民権運動が活発になりはじめる頃である。

沸き立つ万博の警備に就いている警官・マクリアリー。彼はある少年誘拐事件で殺人犯を逃がしてしまい刑事の職を追われた。今夜の仕事は金持ちたちの歓楽街ツアーの案内人。そのツアーの最後に待っていたのは少女の惨殺死体。マクリアリーの刑事魂が甦る。

記念万博財務部役員の父・ハイラム。新聞記者の息子・ディヴィッド。ディヴィッドの姉・エルシー。この家族をめぐる不幸な出来事が事件の裏に見え隠れしながら物語は進行する。その複雑な秘密が主人公、読者を翻弄する。最後の最後に読者を直撃する事実は!?

本書はマクリアリー・シリーズの第二弾。新しい時代の幕開けと過去を引きずるマクリアリーのコントラストが何とも言えぬ雰囲気を出している。この雰囲気の好き嫌いが本書の分かれ目のような気がする。登場人物を極力押さえ、読者を翻弄する構成力はすばらしい。

産業、情報、通信を飛躍的に発達させた偉大な発明のほとんどがこの万博ではじめて紹介された。本書にも出てくるタイプライターもそのひとつである。その他には電話、コンピューターの先駆けである計算機、農業を永久的に変えた、機械化された農業器具などが展示されていた。

万国博覧会としては初めて日本も参加していました。

2001/11


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