音もなく少女は [book] [ボストン・テラン]
ボストン・テラン/文藝春秋/お薦め度 ★★★★★
いい小説だ。
三人の女たち、耳の不自由な少女・イヴ、イヴの母親・クラリッサ、キャンディストアの店主・フラン、の物語。
暴君のような夫から自立しようともがく母と娘に手を差し伸べたのはフラン、自身にも暗い過去、聾者とのあいだに子を身ごもり子宮を摘出された、があった。寄り添うクラリッサとフラン。常々クラリッサはイヴの将来をフランに託していた。
クラリッサが突然行方不明となる。父親が関与していることは間違いないが、確証が見つからない。
18才になったイヴは父親から独立、フランと一緒に住むことになる。
イヴは恋人のチャーリーを通じ難聴の少女・ミミと知り合うことになる。チャーリーもミミも里子だった。ろくでなしの父親に悩まされるミミを助けるのはイヴとフラン。
自立しようとする女を描いたシンプルな物語なのだが、構成といい、文章といい、胸を打ついい小説だ。
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