半身 [book] [サラ・ウォーターズ]
サラ・ウォーターズ/東京創元社/お薦め度★★★★★
十九世紀後半の英国、テムズ湖畔にそびえるミルバンク監獄。慰問に訪れた貴婦人、マーガレット。そこで不思議な霊能力を持つ娘、シライナに出逢う。婦人看守の話では、シナイラは霊媒だという。
シナイラは一年前まで、有能な霊能力者として、貴婦人の間でもてはやされ、優雅な生活を送っていた。その彼女がなぜ今は監獄の中に閉じ込められているのだろうか。
マーガレットとシナイラの交流、貴婦人と霊媒、と、シナイラの過去の物語を、交互に織り交ぜ、ほぼ一年を隔てた出来事が淡々と語られる。
シナイラに魅了?されていくマーガレット、「・・・わたしの魂は、あなたの魂を愛してはいない-もう溶け合っている。私たちの肉体は愛し合っていない。もともと同じものがひとつに戻りたがっている・・・」
霊媒との逃避行を企てるマーガレット。空間を越えた逃避行は現実のものとなるのだろうか?
すべての点において本年度上期ナンバーワンの作品である。
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