殺人の門 [book] [東野圭吾]
東野圭吾/角川書店/お薦め度 ★★★★☆
残念ながら直木賞を獲得することはできなかったが、「秘密」、「白夜行」は、東野圭吾の存在を知らしめた作品だった。
その後、新しい方向性を模索していたようだが、なかなか前作を上回ることはできなかった。ここに来て、「手紙」といい、本書といい、何となく新・東野圭吾が見えてきたようだ。
世間から見れば歯科医の息子-お金持ち、ボンボン、大きな家-しかしその実像は家を出る母親、女にのめり込み財産を食いつぶす父親・・・
いつも大事なときに主人公の前にあらわれる、学友・倉持。デート、就職先、依願退職、仕事、結婚、離婚・・・あたかも倉持が仕組んだシナリオのように翻弄される私。
どうしても殺したい男がいる。
その男によって、私の人生はいつも狂わされてきた。あいつを殺したい。でも、私には人を殺すことがどうしてもできない。殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何だろう?
いつも楽しく拝読しています。
このブログにより、今まで未読だった様々なミステリを読んでいます。
ありがとうございます。
この「殺人の門」について、簡単にコメント致します
この物語の主役は、和幸自身というよりも、和幸の殺意そのもののような気がします。
その殺意の変遷と、何がそこに欠けているのかという考察がとても興味深いですね。
出だしからダークに始まり、最後までダークなまま突き進みます。
この雰囲気から、好みが分かれる作品かもしれないですね。
私には少々ダークすぎ、主人公にもあまり好感が持てないままだったのですが、それでも一気に読ませる力を持っていると思いますね。
by トモ (2023-05-23 08:42)