大聖堂の悪霊 [book] [~'23海外編]
チャールズ・パリサー/早川書房/お薦め度 ★★★★☆
「五輪の薔薇」に続く知的興奮に満ちたミステリー
舞台は十九世紀後半、歴史学者・コーティンは旧友・フィクリングに招かれ大聖堂のある町を訪れる。
迎えてくれた旧友や大聖堂の図書館館長の態度になにか釈然としないものを感じながらも、古文書調べをすすめるうち、二百五十年前の殺人事件の話を聞かされる。その事件は未だ解決していなかった。コーティンは解明されていない謎の部分に興味を抱く。
数日後、知り合ったばかりの老銀行家が殺される事件が起きた。やがてコーティンは、二百五十年前に起きた事件と現在起きている事件が織りなす謎の世界へ引きずり込まれていく。
過去の謎解き、現在の謎解きと二倍楽しめる作品になっている。語り口は十九世紀、歴史学者の手記という形をとっているせいか全体的に穏やかで淡々したものになっているが、過去と現在が交錯するためしばしば前のページへ戻らなければならない!?
まさしく一級品のミステリーである。
2000/10
コメント 0