元年春之祭 [book]

陸秋槎/早川書房/お薦め度 ★★★★

華文本格ミステリ

前漢時代（紀元前１００年）の中国、ヒストリカル・ダガー的時代、かつて祭祀を担っていた観一族、春の祭儀を準備中、当主の妹が殺される。山深い里、陸の孤島、で事件は起きた。本格ミステリ的設定・・・

探偵役を仰せつかったのは、古礼の見聞を深めるため観家に逗留していた豪族の娘、於陵葵、１７歳の才気あふれる少女。

見聞を深めるための問答が時代を色濃く映している。

当主の妹に続き次々と起こる殺人事件、陸の孤島だけに関係者は徐々に限定さていく。しかも四年前に起きた一家惨殺事件と今回の事件は関係しているのか？

本格ミステリの形態をとりながら漢籍、宗教学・・・いろんな知識を駆使した葵の推理は真実にたどり着けるのか？

時代を反映した推理は斬新？だが、事件の動機がイマイチ弱い。読者に仕掛ける二度の謎解きも蛇足のような気がする。玉石混交の一冊！？