伊賀の残光 [book] [青山文平]
青山文平/新潮社/お薦め度 ★★★★
「流水浮木ー最後の太刀ー」改題
「伊賀の残光」の方がはるかにいい表題!
主人公、山岡晋平は鉄砲百人組の老武士、門番のお役目はひと月に四、五回ほど、その他はサツキの栽培によって生計を補っている。
門番のお役目ではあるが時代の変遷とともに、その役割は形ばかりのものとなっていた。山岡も伊賀衆ではあるが伊賀を知らない世代であった。
事件は同心の友が殺されることから始まる。下手人はすぐに捕まるが移送の途中、誰も気づかない鮮やかに手口で刺殺される。
事件の謎を探るなか、伊賀衆の伊賀に対する思い、伊賀衆ならではの隠密御用を知ることになる。しかも山岡の友、ふたりはその隠密御用に加担していた・・・
また、友のひとりが隠密御用の最中殺されるに至り、その御用の始末をつけることを決意する山岡・・・
時間の経過、戦のない世界、財政ひっ迫、とともに武士の生きざまも変化せざるを得ない時代。そんな時代をひょうひょうと生き抜く山岡の生きざまが清々しい。
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