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ささやかな手記 [book] [~'23海外編]

sample5.jpgサンドリーヌ・コレット/早川書房/お薦め度 ★★★★

フランス推理小説大賞受賞作

実兄に対する傷害で19ヶ月の実刑判決をうけた俺ことテオ、40代のやくざ者。刑期を終え向かった先は実兄の入院している病院、そこでひと悶着起こし南仏の片田舎の民宿に逃げ込む。

暇にまかせ周辺を散策することが日課となる俺。民宿の女将もお弁当を用意してくれたり、散策コースをアドバイスしてくれる。そんなある日、女将のお薦めを散策する俺が見つけたのは一件の廃家、老人に招かれコーヒーをご馳走になる。暇乞いをしようと思ったとたん頭に一撃を食らった。

暗い地下室には先客、8年間鎖につながれ奴隷として酷使された、リュックが・・・

ふたりの老人、ふたりの奴隷の過酷な生活がこれでもかこれどもかと描かれる。

ある日、俺は兄弟の隙を見て脱出を試みる。川に沿って歩きつづけ、遂に道路に突きあたり、一台の車が通りかかる。脱出は成功したかに見えた・・・運転手は兄弟の幼なじみ、逃げた犬を見つけたと廃家へ連れ戻される。

そのうちリュックは死に、ひとり対兄弟の生活が繰り返される。

推理小説大賞受賞作なら最後にひと捻りあるだろうと思って読み進むが何もなく、エピローグを迎える。俺が過酷な生活を生き抜いたのは兄弟の存在だった、という告白が印象的な一冊。


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