ハンマー・オブ・エデン [book] [~'23海外編]
ケン・フォレット/小学館/お薦め度 ★★★★☆
「これが私の最高傑作」エドガー賞受賞作家ケン・フォレット
事件の発端はダム建設によるヒッピーコミューンの明渡しだった。
何とかカリフォルニア州知事にダム建設を中止させるため、コミューンのリーダー・プリーストらはあることを思いつく。インターネットの掲示板に、四週間後に地震を起こすと知事に宣言する。平和を愛するグループが、やむにやまれず過激な手段に訴えるんだということで、「ハンマー・オブ・エデン(エデンの鉄槌)」と名乗った。
そのための準備は整っていた。プリーストらは地震波を起こすために必要なサイスミック・バイブレーター(地震波を起こすには三つの方法がある。地価爆発、重量物落下による衝撃、サイスミック・バイブレーター)をすでに手に入れていたし、地震学者の妻・メラニー、プリーストの愛人のひとり息子と一緒にコミューンで暮らしている、は地震学の修士号をもっていた。
一方、この事件を担当することになったのはFBI捜査官・ジュディ。上司と衝突したあげくにあてがわれた仕事だった。
この荒唐無稽なプロット。600ページ強にも及ぶボリューム。それをいとも簡単に読み進めさせる筆力。どれをとっても一級品のサスペンス・アクションである。
近頃のエンターテインメントに見られる銃器やマシーン、車、ハイテクなどはいっさい登場しない。そこには登場人物の人間性、追われる者、追う者との双方の知恵比べがストーリーを盛り上げる展開となっている。
2001/01
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