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終焉の日 [book] [~'23海外編]

sample1.jpgビクトル・デル・アルボル/東京創元社/お薦め度 ★★★★

歴史ノワール!?

1939年~フランコ体制下のスペイン、急進ファシズム政党ファランヘ党と右派を結合させ新ファランヘ党を結成、政権はその成立時からドイツ、イタリアのファシズム政権から支援を受け、軍隊と秘密警察による厳しい支配を行った。独ソ勃発後、ポルシェヴィキと戦うためとして義勇軍、通称青師団、がソ連に派遣される。

1975年フランコ没後、独裁政権が倒れ、ゆっくりと民主化の道を歩きはじめる。1977年最初の選挙、1978年新憲法制定、40年以上続いた独裁政権からやっと自由になったように見えたが、政権基盤は安定せず、1981年2月、軍事クーデター未遂事件が勃発。

1941年、ファランヘ党県支部長の妻イザベルが夫を裏切り、共産主義運動に加担したとして殺害される。ふたりの子、フェルナンドとアンドレ、は父親にうとまれ、兄のフェルナンドは青師団に送り込まれ、弟のアンドレは精神に異常をきたしサナトリウムへ・・・

1977年、弁護士のマリアは旧体制の<悪の権化>とも言うべき悪徳警官、セサルを裁判にかけ、刑務所送りにしたことで名声を得る。ところが数年後、その事件が何者かによって仕組まれていたと判明?する。セサルは軍部とのつながりが噂されるブブリオ国会議員を密かに調査、そのために娘を誘拐され、おとしめられた、と・・・

マリアの父親、鍛治匠。マリアの元夫、国防省上級情報センター員。マリアの夫の上司の大佐。セサルの父親、イザベルの子供の家庭教師。セサル裁判の直接のきっかけを作った情報屋・・・40年の時間のなかで翻弄され続けた人々、血のつながった肉親、の悲哀を追う。

ミステリーとは言い難い歴史ノワール!?抗えない力、定めのようなものを感じ胸が痛くなる一冊!

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