漂砂のうたう [book] [~'23 国内編]
木内昇/集英社/お薦め度 ★★★★
直木賞受賞作
松井今朝子とかぶる作者、女流、江戸、明治、遊郭・・・
明治十年、自由民権運動、西南戦争・・・江戸から明治への移行期、武士階級にとってはよりどころを無くした時代。根津遊郭・美仙楼の立番、定九郎もそんなひとり。
御一新の波に漂う浮草、定九郎。三遊亭圓朝の弟子・ポン太。ひたすら遊郭を守る龍造。美仙楼のナンバーワン花魁・小野菊らが織りなす物語。
頼まれたくもない相手、深川遊郭で一緒だった吉次、から小野里花魁の座敷に登楼てほしいと頼まれる定九郎。時を同じく定九郎にまとわりつくポン太。時代遅れの小野菊花魁の道中、そこで起こる大芝居。三遊亭圓朝の噺とシンクロする結末は傑作!?
時代背景、遊郭のしきたり等々しっかりした舞台設定は出来ているが、謎めいた部分がすべて明らかにならない。フラストレーションが残る・・・個人的には今井今朝子の「吉原手引草」が好きだ。
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