図地反転 [book] [~'23 国内編]
曽根圭介/講談社/お薦め度 ★★★★
江戸川乱歩賞作家による冤罪ミステリー!?
表紙に描かれた「ルビンの盃」。黒い部分だけに注目すれば盃に、白い部分だけなら、二人の人間が向き合っているように見ええう。つまりどこに意識を向けるかによって、一枚の絵がまるで違って見える。これを『図地反転図形』と言います。(本文230頁)
自分の妹を殺された警察官、一杉研志。犯人は刑期を終え、ひっそりと暮らしていた。妹同様の幼女殺害事件が起こり、研志は捜査本部へ駆り出される。
犯人は逮捕されたものの、妹を殺害した犯人が冤罪を訴えていることに出くわす。研志の心は千千に乱れる。妹を殺した奴が無実を訴えているのか、と。
ふたつの意識でふたつの絵を見れることが出来ればいいが、それは不可能。見え方によって結果はまったく反対のものになってしまう。冤罪もまさにそうである、と。
淡々とした語り口が、実にいい。
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