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黒と白のはざま [book] [ロバート・ベイリー]

sample1.jpgロバート・ベイリー/小学館/お薦め度 ★★★★

シリーズ第二弾

前作「ザ・プロフェッサー」の続編、前作で老教授トーマス・マクマートリーことトムの尻を叩いた教え子ボーからの電話、KKKによって殺された父親の復讐殺人で逮捕された、と。

事件が起きたのは45年後父親の命日、KKKの指揮官だった街の実業家アンディが散弾銃で撃たれ、父親と同じ木に吊り下げられた。

トムはリック、こちらも前作に登場、トムの教え子、と共にテネシーへ。ふたリのチームに地元の弁護士でトムの旧友、飲んだくれのレイレイも加わる。対する検事は負け知らずの女性検事ヘレン。舞台は揃い、法廷闘争へ・・

前作でトムたちがやっとの思いでやっつけた運送会社の経営者、その経営者が雇っていた始末屋、KKKの元メンバー、メンバーの経営するバーのストリッパー・・・多彩な人物を配して物語は進む。

弁護側の切り札の証人、これがなんと掟破り、更にどんでん返しも用意されたエンタメ・リーガル・サスペンス。前作を一読して本書を手にした方がより愉しめるはず!


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黒い河 [book] [G・M・フォード]

sample2.jpgG・M・フォード/新潮社/お薦め度 ★★★★ 

前作「憤怒」同様、ノンフィクション作家フランク・コーソが活躍するシリーズ第二弾

イントロから意表をつかれる。殺しのターゲットは既に何者かによって殺されていた。殺しを命じられたギャングの手下は、さらに死体に向かって銃弾をぶち込む。

ギャングのボス、ニコラス・バラギュラの裁判-新築の病院が軽度の地震で崩壊、死者が出た。コンクリートの検査に絡み被告が不正利益を得た-に主人公だけが出版社社長のコネで傍聴人として認められる。

殺し、ゆすり、脅迫・・・あらゆる手段を駆使するギャング。元恋人、カメラマンのドアティに迫る危機。検察官ルネ・ロジャーズの協力を得て(何で検察官が主人公に協力するのかは?だが・・・)、悪に立ち向かうフランク。

「二度も殺された」殺人事件と裁判の関係はいかに・・・物語はサスペンスフルに展開する。

シリーズ第一弾の出来がよかっただけに、ちょっと残念かな!?

2004/05

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闇という名の娘 [book] [~'23海外編]

sample1.jpgラグナル・ヨナソン/小学館/お薦め度 ★★★★☆

アイスランド・ミステリー

フルダ・ヘルマンスドッティル警部、64歳、上司からの呼び出し、来月から若手に来てもらう、きみのあとを引き継いでもらうので2週間後に席を明け渡すように、と指示される。早期退職は望んでいないのに・・・

2週間の間、フルダは未解決事件を担当したいと申し出、了解を得る。その事件とは、難民申請中のロシア人女性の不審死事件、当初は申請が通らず自殺としたとされていた。

フルダの捜査と並行してシングルマザーの不安と失意、男と女が遠出する話が描かれている。

三つの物語が劇的に交わるのだが、それより少しづつ明らかになるフルダの人生、余りにも悲しく、秘密めいた、不運な、そのものが凄すぎる。そこまで何度も何度も打ちのめされなくてもいいのに、と・・・

それだけで話は終わらない、更に打ちのめされる結末がまっている。過去にこんな悲運の警察小説があっただろうか!?

ちょっと気が早いが今年のベストミステリーかも!?

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清明 隠蔽捜査8 [book] [今野敏]

sample1.jpg今野敏/新潮社/お薦め度 ★★★★

シリーズ第10作

大森署長から神奈川県警刑事部長へ異動になった竜崎、着任早々、町田で死体遺棄事件が発生、神奈川県と東京都が入り組んだ県境のため、幼馴染みの伊丹刑事部長から要請を受け、神奈川県警も応援部隊を派遣することに・・・

捜査本部で旧友?と再会するも、大森署と警視庁、神奈川県警と警視庁と名前が変わっただけで少し違和感を感じるふたり!?

おまけに妻の冴子がペーパードライバー教習で事故を起こしたという一報が入る多難な幕開け。

被害者は中国人と判明したことから、中華街での情報収集、中国人の手配師、公安、元県警OBで教習車の所長らが絡み物語は進む。

公安部長、伊丹刑事部長、竜崎の三者会談がもたれる場面で、伊丹がのたまう台詞がこれ、「この男には『たてまえと本音』という概念がありません。すべて本音なのです。そして、その本音は原理原則に沿っているのです」

公安の横やりもなんのその、本音で突き進む頼もしい竜崎が・・・相変わらず愉しめる一冊。


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流れは、いつか海へと [book] [~'23海外編]

sample5.jpgウォルター・モズリイ/早川書房/お薦め度 ★★★★

MWA賞受賞作

女癖の悪いNY市警の刑事、ジョー、10数年前にハニー・トラップにかかり、刑務所行き、友人の支援でなんとか罪を免れ、今はしがない探偵。

そんな彼に仕事の依頼、警官殺しで死刑を宣告されたジャーナリスト・活動家の無実証明してほしい、が舞い込むと同時に、ハニー・トラップを仕掛けた女から手紙、事の経緯を記した、が届く。

ふたつの事案、にジョーが指名した相棒は元犯罪者で時計職人のメルカルト、ふたりで暗部へわけいる。

ジョーが出くわす多くのいかがわしい男女、悪党にめまいがする・・・短い文章をつなぎ合わせたテンポの良さがめまいを補ってくれる。

ミステリーじゃなくスパイ小説のような結末に驚かされる。趣を異にする秀逸な探偵小説。


タグ:MWA賞
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憤怒 [book] [G・M・フォード]

sample89.jpgG・M・フォード/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

時限爆弾サスペンス! あと何日・・・あと何時間・・・

死刑執行の6日前。レイプの被害者であり、証人でもあるリーンは新聞記者・フランクを訪ねた。実は自身の証言は偽証だった、と。

フランクは<シアトル・サン>の発行人・ナタリーに大きな借りがあった。その借りとは、ある政財界の大物に関する連載がもとで<;ニューヨーク・タイムス>を解雇され、婚約者にも見捨てられた。その彼に定期的なコラムを書かせ、ベストセラー作家の仲間入りの手助けをしたのは、シアトルの小さな新聞社の女社主・ナタリーだった。

ナタリーからの依頼は、死刑囚がほんとうに真犯人かどうかを洗い直せというもの。

カメラマン兼取材助手として、変り種のメグを引き連れ真相究明に乗り出すフランク。そんな折、新たな犠牲者が発見され、事件は思わぬ方向へ。

プロットとしてはありふれているものの、カウントダウンされる時間についついのめり込んでしまう。

2003/11



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暗約領域 新宿鮫Ⅺ [book] [大沢在昌]

sample1.jpg大沢在昌/光文社/お薦め度 ★★★★

新宿鮫シリーズ第十一弾

前作で唯一無二の上司桃井を亡くし、恋人の晶とも別れた鮫島。孤独な捜査に没入するだけ・・・桃井に変わる新課長、阿坂景子の掟とは「基本を守る。ルールを曲げない」こと。しかも一匹狼鮫島に新人刑事、矢崎と組むことを命じる。

売人から鮫島にたれ込み、麻薬の小分けがヤミ民宿の一室で行われる、が入る。張り込みをかける鮫島の前に身元不明の射殺死体が・・・

ヤミ民宿の影の経営者は元ヤクザ、鮫島の裏のネットワークを辿るが害者の身元がなかなか割れない。前半戦は新課長、新人刑事に気を使う?いつもとはちが物足りない鮫島の姿が見え隠れする。

後半はいつものように、中国人・北朝鮮人の組織、ヤクザ、公安警察らがからみ、独断専行の新宿鮫が現れ一安心、だがいつもの派手なアクションはなし。鮫島も歳をとったのか!?

それにしても鮫島の歳のとらせかたが難しい。大沢在昌も一番悩んだところではないか・・・ハリー・ボッシュのように警官→探偵→警官というわけにはいかない。鮫島が新宿署から異動なるときは警官を辞めるときだからだ。

大沢在昌には鮫島にいい歳のとらせかたをしてもらって、次作を期待したい!


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不穏な眠り [book] [若竹七海]

sample1.jpg若竹七海/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

葉村晶シリーズ

四編収録の短編集

国籍・日本、性別・女。吉祥寺にあるミステリ専門書店<MURDER BEAR BOOKSHOP>の店員にして、この書店が半ば冗談で公安委員会に届出をした<白熊探偵社>に所属する。ただひとりの調査員でもある。

いつもながら書店のアルバイトで糊口を凌いでいる葉村に入る数少ない依頼、はじめはラクな依頼のはずだったが、どんどん深みにはまり、身体をはった悲惨な?調査になっていく。そんな葉村に拍手を送るたくさんの読者、わたしもそのひとり。今月からはじまるドラマ10(NHK1月24日スタート)「ハムラアキラ~世界で最も不運な短~」主演:シシド・カフカ、こちらも期待したい・・・

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