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ノワールをまとう女 [book] [江戸川乱歩賞]

sample1.jpg神護かずみ/講談社/お薦め度 ★★★★

第65回江戸川乱歩賞受賞作

「揉め事を引き受け、静かに解決することを生業としている。じつは話を聞き、君に興味をもった。きみなら使えるんじゃないかと思った」・・・原田、ボス、総会屋から転身、からこう言われスカウトされたわたし、西澤奈美。

企業の炎上案件を解決する裏稼業だ。今回の案件は日本でも有数の優良メーカー、美国堂、にかつて日本批判を浴びせた韓国人の社長が傘下に入ったのみならず、役員に収まっていることを問題視する市民団体、「美国堂を糺す会」、がデモをしかけている、というものだ。

「美国堂を糺す会」に潜入、情報を集める奈美、ここまでが物語の入口、奈美の同性愛パートナー、雪江、が「美国堂を糺す会」の会合に現れることで物語はあらぬ方向へ舵を切る。それに加え、奈美がお世話になったアサコ苑、韓国料理店、のママの死の真相も追うことになる。

それらが絡み合いながら物語は結末を迎える。最後におまけ、ネタばれ、ボスとの一戦、までついた仕立てになっているのだが、いまいちストンと落ちない。ここまで風呂敷を広げたのだから読み手は捻りを期待してしまう!?

最近の江戸川乱歩賞の質が落ちていることは確かだ。唸るような江戸川乱歩賞を読みたいものだ。

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大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう⑥ [book] [山本巧次]

sample1.jpg山本巧次/宝島社/お薦め度 ★★★★

シリーズ第六弾

北、オロシャ、からの黒船

密命?を帯び、常陸国鉾田の海岸に上陸した船員のステバノフ、運悪くランデブーとはいかず、役人に取り押さえられたが、脱走、江戸市中に・・・

緘口令が敷かれる江戸市中、伝三郎以下、息のかかった岡っ引きらが集められ、極秘に探索が行われる。もちろんおゆうこと関口優佳も探索に加わる。

オロシャ人の逃走劇が殺人事件を生み、江戸幕府vsオロシャの外交問題にまで発展しそうに雰囲気!?

ゴローニン事件とペリー来航をつなぐようなお話・・・

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潤みと翳り [book] [~'23海外編]

sample1.jpgジェイン・ハーパー/早川書房/お薦め度 ★★★★

シリーズ第二弾

企業の合宿研修で森に入った女性五人、一日目は何とか目的地に遅ればせながら到着、同じ研修に参加の男性チームが合流、ワイン持参でささやかな食事をとることが出来た。

集合地点への女性たちの集合は遅れていた。男性グループは目標時刻より早く到着していた。研修の四日間、一日としていい天気の日はなかった。遅れること数時間、現れたのは四人だった。迷ってしまったの、はぐれてしまったの、と・・・

集合地点に現れなかったのはアリス、連邦警察官のアーロン・ラッセルに事件の協力をしていた女性・・・しかもラッセルの携帯に「彼女を苦しめて」とメッセージが残されたいた。

五人の脱出劇と捜査が交互に語られる。極限状態で本性をむき出しにする五人、お互いが抱える問題、社内、母娘、姉妹・・・、がうごめく。

前作「渇きと偽り」はCWA賞受賞、なかなかだったので続編を手にするが、ありがちな結末に少々落胆!?

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絶叫 [book] [~'23海外編]

sample125.jpgリンダ・フェアスタイン/早川書房/お薦め度 ★★★★☆ 

女性検事補アレックス・シリーズ第二弾

マンハッタンの大病院で女医が暴行された上、絞殺死体で発見される。ニューヨーク市警の刑事・マイク(前作でも共演)からの連絡で現場に急行したアレックスだが、人の出入りが激しい病院内、容疑者の特定は困難をきわめる。

そんな中、容疑者と思しき人物が確保されたが、DNA鑑定の結果、白の判定がくだされる。捜査は一からの出直しとなる。

やがて、病院内の出世争いに殺された女医が権限を持っていたことが判明。アレックスは同僚への尋問を再び繰り返す。

その矢先、第二のレイプ殺人は起きる。

この辺からアップテンポで物語は進行する。前作のような鼻に付いた部分-美人、父親は名医、住まいは億ション、別荘あり、恋人はハンサム-が消え、アレックスの辣腕ぶりが遺憾なく発揮されている。

2002/11


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メインテーマは殺人 [book] [アンソニー・ホロヴィッツ]

sample1.jpgアンソニー・ホロヴィッツ/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆

「カササギ殺人事件」超!?

資産家の老婦人、クーパー夫人、は自分の葬儀を手配するため葬儀社を訪れ、まさにその日、何者かによって絞殺された・・・

作家であるわたしは、元刑事のホーソーンからこの事件を自分を主人公にして書いてみないかと誘われる。報酬は折半で、と。

クーパー夫人は9年前、人身事故を起こしていた。幼い双子の兄弟を轢き、一人を即死させ、もう一人は重度の後遺症を負わせたのだ。自身は軽い罪に問われただけだった。

クーパー夫人の葬儀が執り行われた午後、俳優の息子が刺殺された。傷の状態からして怨恨が疑われた。

親子が殺されるに至り、事件の混迷度は増すばかり。探偵役のソーホーン、ワトソン役のわたし、ソーホーンの当てこすりに嫌気をさしながら、犯人を見つけ、この小説をなんとか書きあげたいと思う自分が・・・

伏線をすべて回収する手法がじつに真摯的、本年もアンソニー・ホロヴィッツ、昨年は「カササギ殺人事件」、は健在なり!!!

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誤殺 [book] [~'23海外編]

sample98.JPGリンダ・フェアスタイン/早川書房/お薦め度 ★★★★ 

女性検事補アレックス・シリーズ

犯罪多発地区マンハッタンにて、卑劣な性犯罪を扱う、辣腕女性検事。主人公、アレックス・クーパーの人物設定、それ自体が本書を際立たせる!?

アレックスの別荘で、友人であり女優のイザベラ・ラスカーが射殺体で発見される。イザベラは台本を読むためアレックスの別荘を借りていた。アレックスと間違われて殺されたのか?

イザベラの殺人事件を軸に、さまざまな性犯罪事件を絡ませ物語は進行する。

「告発!美人で辣腕検事、かっこいい恋人あり、別荘を持つほどのお金持ち・・・わたしもなってみたい!」ケイ・スカーペッター。

彼女が書いたと思われる?店頭POPが・・・

検屍官ケイ・スカーペッター同様、女性には不向きと思われる職業にチャレンジするヒロインたち。事件との間、人間関係の間、恋人との間・・・いろんな間で揺れ動く主人公、とても人間的でかわいい!

2002/08

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厳寒の町 [book] [アーナルデュル・インドリダソン]

sample1.jpgアーナルデュル・インドリダソン/東京創元社/お薦め度 ★★★★

捜査官エーレンデュル・シリーズ

学校帰りの10歳の男の子が腹部を刺され、地面にうつ伏せに倒れ、血だまりは凍り始めていた。

母親はタイ人、父親はアイスランド人、離婚後レイキャヴィクに越してきた。母親はタイからもう一人に息子を呼び寄せ、三人で暮らしていた。

アイスランドが抱える移民問題をメインストリームに物語は進む。

エーレンデュル、エリンボルク、シグルデュル=オーリの面々が昼夜問わず捜査に没頭するがなかなか手掛かりがつかめない。

捜査と並行して語られるもう一つの事件、三回結婚を繰り返す浮気性の夫から姿を消す妻、が読者を惑わす。

最後に明らかになる事実は決して奇異なものではない。ここからネタばれ・・・

移民問題が絡んでいなかったことは救われるが、「べつに?」、「あいつがそこにいたから」、「それだけか?」、「ぼくたちすることがなかったから」には最近、日本でもちょくちょく見かける事件と酷似しているではないか!?

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どこよりも冷たいところ [book] [S・J・ローザン]

sample99.JPGS・J・ローザン/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆ 

アンソニー賞最優秀長編賞受賞作

はじめは些細なことだった。建設現場ではそう珍しくない。工具が消えたり、配達品の数が不足したり。それからまもなくフロントローダーが盗まれた。

目を配り出したら好まざる人物がいるのに気づいた。ジョー・ロメオというやつで、レンガ工事の班長をしている。何やらうさん臭い商売に手を出してるんじゃないかと、クロウェル親子は疑っている。

わたしをレンガ工として現場に送り込んだのは、チャック・デマティスである。デマティスは元警察官で、退職して四年ほど経つ。退職した日に探偵免許を手に入れた。

クレーン操作係が失踪するという事件に続き、作業員のひとりが意識不明の重体に・・・更に死体が発見されるはめに。

こよなくピアノを愛する探偵、ビル・スミスが事件の奥底にあるものを探り始める。

物語にしても、主人公にしても、主人公を取り巻く人間関係にしても派手さがあるわけではない。その淡々とした語り口、淡々とした人物造形が心地いい一冊。不思議な探偵小説である。

2002/09

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カッティング・エッジ [book] [ジェフリー・ディーヴァー]

sample1.jpgジェフリー・ディーヴァー/文藝春秋/お薦め度 ★★★★

リンカーン・ライム・シリーズ

ダイヤモンド店で三人、店主、カップル、が殺害された。現場からは高額なダイヤモンド4石が持ち去られていた。慎重な?犯人はカップルの前に店を訪れた人物、殺されるのだが、と現場で鉢合わせした男を追う。

さらに、婚約中の男女が襲われ、犯人はダイヤモンドの守護者、装飾品にされる運命からダイヤモンドを救っている、だと名乗っtた。

いつしか犯人が地中熱ヒートポンプ施設に現れたことと、地中熱が原因?の地震が起き、ガス漏れを誘発、火災が発生する事件が起きる。そこにどんな因果関係があるのか!?

話がだんだんあらぬ方向に?舵を切り始める。前半は少々退屈ではあるが、後半は大風呂敷を広げた展開が待っている。さすがストーリー・テラーのディーヴァー!

本書にはいつもいつも登場する証拠物件の一覧表がない。ホワイトボートという記載があるだけ、いったい何があったのか?

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